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Fig.3: Growth rates at four different temperature conditions. Tests growths are shown as average test diameter. Each error bar indicates confidence interval of 95%.

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Fig.4: Magnesium and Strontium contents of foraininiferal tests which were gown under the constant temperature vs. culture temperature. Each error bar indicates confidence interval of 95%.

けを拾い出し、測定に用いた。なお、ローズベンガルにはMgやSrは含まれておらず、測定には影響しない。また、有孔虫殻のMg/Ca比、Sr/Ca比と海水温の関係を検討するために気象庁御前崎測候所で記録された、御前崎港の海水温の記録を使用した。
2−4. 測定方法
試料は、測定に先駆けて、BoyleがCdの測定のために用いたクリーニング方法8)を改変した。以下の手順で洗浄した。1)殻の表面の汚れを取り除くために、メタノール中で超音波洗浄を5分問行った。2)有孔虫の各室が全てばらばらになるように、ガラス板の間に挟み、殻を壊した。3)壊れた個体を2回蒸留した蒸留水中で1分問超音波洗浄し、殻の表面に付着した粘土などを除去した。4)水酸化ナトリウムと過酸化水素中で80〜90℃で超音波洗浄を行い有機物を除去した。5)測定用試料は0.075NHN03、で殻を完全に溶解した溶液を用いた。
測定は通商産業省工業技術院地質調査所海洋地質部のJobin Yvon JY−38Sを用いてICP発光分析を行い、溶液中のMg、Sr、Caを定量した。それぞれの元素は、Caは393、366nm、Mgは279、553nm、Srは407、771nmの波長のスペクトル線を用いて測定した。
3. 結果
3−1. 飼育実験の結果
(1)飼育環境と成長速度
飼育期間中の海水温の変化をFig.2に示す。飼育平均水温はそれぞれ、9.7℃±0.7℃(σ:0.34)、14.8℃±3.0℃(σ:0.83)、20.2℃±1.2℃(σ:0.52)、24.5℃±2.2℃(σ:0.79)であった。また、塩分は36.3±0.1%でほぼ一定であり、飼育現境の変動は小さかった.各水温条件下における、Quinqueloculina yabei の個体群の成長を平均の最大殼直径で表したものをFig.3に示す。Quinqueloculina は最初の20日間では25℃の条件で最も大きく成長し、次いで20、15、10℃の順であった。しかし、60日間の飼育期問が終わった時には、20℃のものが最も大きく成長し、25、15℃がほぼ同じ大きさまで成長し、10℃が一番小さかった。
(2)測定結果
飼育実験で成長したQuinqueloculina yabei の殻に含まれるMg、Sr、CaをICP発光分析法を用いて定量した。分析には各条件とも10個体を溶液にして測定に用いた。測定誤差は1%以下であった。Quinqueloculina殻のMg/Ca比、Sr/Ca比と水温の関係をFig.4に示す。殻に取り込まれたMg/Ca比、Sr/Ca比はいずれも水温に対して直線的

 

 

 

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